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「『長編一覧』」
『溢れる想い・全18話』

07

futta2758m.jpg
『けじめ』

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『教授宅・応接間』
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麗香とかすみは、美樹の身の回りの物を揃えて教授宅に来ているところであった。

かずえにそれを渡し、ついに想いを告げたという男の事について愚痴をこぼしていた。


「なーんかとんだ騒ぎになっちゃったけど、やっとこれで諦めがつくわよね、かすみちゃん」


「ほんっとよ!でも・・こんな事件の中で、どさくさに紛れて言われる香さんが・・ちょっと可哀想・・」


「たしかにね」


同じ男を愛してはいたものの、
どこか『あの二人』を応援してしまうような、
何とも複雑な想いを長年抱えていた二人にとって、
リョウが年貢を納めそうだというニュースは、
けじめをつけるきっかけになったようだ。

そんな二人の賑やかなやり取りが耳に入ったのか、
かずえは昔の自分を思い出したのだろう、クスクスと笑いながら口を開く。


「麗香さんもかすみさんも、冴羽さんの事まだ想っていたのね?。
私もミックと出会う前は、冴羽さんを本気で愛していたけど・・
香さんに向ける冴羽さんの・・あの目を見たら、悔しいけど・・敵わないって思ったもの。
それなのにあの二人ったら、全然くっつく様子がないんだもの見てるこっちが歯がゆかったわよね。」


かずえの言葉を受けた麗香とかすみは、
かずえが言った言葉をすぐには理解できず、
二人してフリーズしてしまった。

しばらくの沈黙の後、二人は心底驚いたように目を見開くと、
ズイッとかずえに顔を近づけ、二人同時に口を開いた。


「「え?!かずえさんもリョウ(冴羽さん)の事好きだったのー?!」」


麗香とかすみが驚くのも無理はない。

身近にいた仲間の一人が自分達(麗香とかすみ)と同じ様に、
『あの男』へ想いを寄せていたとなれば誰でも驚くであろう。

ましてや、3人がこうして揃って会話をするなど、
今回が初めてなのだから尚更である。

驚きの声を受けたかずえは、
二人の声の大きさに心底慌てたように言う。


「ちょっとっ二人とも声が大きいですっ!!
この事はミックにはまだ話してないんですからっ!」


そう言いながら、困ったような表情を浮かべたかずえに、
麗香は教会で見たミックを思い出しながら、口を開いた。


「ミックって・・あの外人さんよねぇ?
リョウの親友っていう・・姉さんから聞いたわ。」


麗香が言い終わるのと同時に、今度はかすみが言う。


「あ、私も美樹さんに少し聞いていました。
でも・・ミックさんって香さんに本気になったとかなんとか・・
聞いたんですけど・・かずえさんとそんな関係になってたんですねぇ?。」


かすみの『そんな関係』という言葉に、
決して間違いはなかったものの、面と向かってそう言われると、
かずえも照れくさいらしく、少し頬を染めて返事をする。


「そ・・そんな関係っていうか、彼の看病している内に、
ほぉっておけなくなっちゃって・・気が付いたら、本気になってたの。」


「「ひゅ~♪」」


かずえの言葉を聞いた途端、二人は同時に歓声をあげる。

だが・・麗香とかすみは、
次の瞬間何故か肩を落としながら溜息をついた。


「あーあっ私もさっさとリョウなんて諦めて、
新しい恋探してればよかったわっ分かってはいたのよ?
リョウには香さんしか見えてないんだーってさ・・でも・・あの二人もどかしくって・・ねぇ?」

そう麗香は、苦笑いを浮かべながらかすみに言う。

麗香の言葉にかすみは、
少し大げさかと思われる程に首を縦に振りこたえる。


「そうそう!二人の間には入り込めないって分かってるのに、
なかなかくっつかないもんだから、区切りがつけられなくってなってたのよね。
・・でも、かずえさんはもう新しい恋みつけてるんですよねぇ・・良いなぁ・・。」


うな垂れるかすみを見て、
麗香は何かを思いついたように手を叩くと、
キラキラと瞳を輝かせながら口を開いた。


「ねぇ?かすみちゃん、何かこのままだと悔しいからさ、
さっそく新しい恋を探すために、合コンでもセッティングしようよっ!」


麗華の思いがけない申し出に、うな垂れていたかすみは、
ぱっと花が開くように表情を明るくさせて言う。


「あーーったま良い~っ!!良い男は冴羽さんだけじゃないもんねっ。」


いましがた思いついた事を、
さっそく実行に移そうとしているのだろう、
二人は勢いをつけて身支度を整えると、
二人の様子を見守っていたかずえに声をかける。


「あ、かずえさん、私達はこれで帰るわねっ。
かすみちゃんっはやくっ新しい出会いに向けて出発っ!!」


「あーっまってよー麗香~っ!」


ドタバタと大きな足音を立てて二人は部屋をでていった。

やはりどこか諦め続けていたのだろう、決定的な失恋をしたというのに、
どこか嬉しそうに話していた二人を、かずえは目を細めながら見送った。


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二人が去って少しすると、
いつもの静けさが部屋を包んでゆく。

そんな空気も手伝ってか、
かずえは最愛の男のことを考えながらポツリとこぼした。


「私は冴羽さんの事を思い出にできたけど、ミックはどうなのかしら・・?。」


この不安は、ミックと関係を持つようになってから、
彼女の中に積もり続けていた不安だったのだろう。

決して自分では答えの出せない数式に出会ったように、
かずえは深い溜息をついた。



その時─・・


コンコンッ(ノックの音)


「入っていいかい?」


乾いた音とともに聞こえてきたのは、
今まさに、かずえが思い巡らせていた男の声であった。


「どうぞ」


かずえは複雑な表情を浮かべながら、
そうドアごしに返事をしたのだった─・・・・。


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