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「『長編一覧』」
『溢れる想い・全18話』

16

二人の共同作業
『新たな一歩』

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『冴羽アパート・キッチン』
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リョウは朝食の準備にとりかかっていた。


(簡単に済ませたいし、ベーコンエッグでいいか・・)


朝食の献立を早々に決めて、冷蔵庫から必要な材料を取り、
手早くベーコンと卵を焼き。その合間にトーストを焼いていく。


そうこうしていると、香がキッチンに近づく気配をリョウは感じとる。


「ぁ~わりぃ、もう少し待っててな~すぐできっから」


香がキッチンに入ると同時に、リョウは背を向けたまま言った。


(・・リョウが・・料理してる・・・・
な・・何か本当に夢みてるみたいだなぁ・・。)


目の前で繰り広げられる『非日常』の光景に
香は思わず自分の頬を軽く抓った。


「ぃだい”・・」


「ぁん?」


香の変な声にリョウは振り返り、何だ?というような表情を香に向ける。

視界に入ってきたのは、香が自分の頬を抓っている姿であった。


「なぁにしてんの?香ちゃん・・」


「いあ・・何か全部夢なんじゃないかと思って・・確かめてたのよ・・」


香のその返答に、リョウは一瞬苦笑いを見せてから、
すぐに優しい眼差しを香に向ける。


「・・馬ぁ鹿・・夢であってたまるかっ」


「///・・うん」


そう短い会話をして、リョウはコンロの火を消し
ベーコンエッグとトーストの盛り付けにかかった。


「ぁ、あたしサラダとコーヒー準備するわ//」


「おう」


香は冷蔵庫から材料を取り出し、あっという間に簡単なサラダをつくり、
リョウがベーコンエッグを盛り付けた皿にサラダを盛り付けた。

そして、慣れた手つきでコーヒーメーカーでコーヒーを淹れる。


「できたな」


「あ、ありがとう・・リョウ///す・・少し待っててね。すぐコーヒーできるから。」


「あぁ」


リョウは出来上がった料理を、二人の所定位置にそれを移動させ、
自分の席に座り、コーヒーを淹れる香の後ろ姿をジッと見つめていた。

この時リョウは、香が着ている服が見慣れぬ服だと気づく。


「お待たせ、コーヒー入ったわよ」


「おう、サンキュ♪んじゃ食おうぜ」


香が自分の席に座るのを確認すると、
二人して「頂きます」と揃えて言い、朝食を摂り始めた。


リョウは食べながら、
香がいつもと違う服を着ている事を少し疑問に思い尋ねる。


「なぁ・・香?」


「うん?」


「その服はじめて見るよな?どしたんだ?」


「え?っ///・・よ・・よく分かったわね?」


「そりゃぁ毎日顔合わせてるんだ、それくらい分かるって」


「///絵里子に貰ったワンピースなの・・似合わない・・かな?」


「いあ・・すげぇよく似合ってるよ・・可愛い」


香はリョウのその発言に、目を丸くした。

リョウが香の服を褒める時は、今までなら『馬子にも衣装』
などと捻くれた褒め方しかしてこなかったからだ。

しかし今リョウはハッキリと『可愛い』と香に向けて言ったのだ。

そんなリョウに香は驚き、顔を赤らめながらも、心底嬉しいと思っていた。

リョウは素直に気持ちが言える自分に、香以上に驚いていた。

想いを通わす事ができると、
こんなにも正直になれるものなのかと、リョウは少し笑みをこぼす。


「////・・ぁ・・ありがと・・」


「んで?何でまた急にそれを着ようと思ったのかな?香ちゃんは」


「そ・・それは・・さっきも言ったじゃない・・」


「ん?」


「だからっ・・ゆ・・夢見たいなことばっか起きてるからっ
いつもの服着たら、本当に夢になっちゃいそうで怖くって・・。
そ・・それに・・何かこう・・新しい一歩進んだわけだから///
ちょっとは・・その・・女らしくしようかなぁ・・なんて////」


香のその不安は、リョウに痛いほど伝わった。

何故なら、そんな不安要素を植えつけたのは、
他の誰でもない自分自身なのだと解っていたからである。

つい最近まで、心にも無い事で幾度も香を傷つけてきた・・と自負するリョウにとって、
香のその不安は、これから確実に払拭していかなければならない課題であった。

リョウはそんな意思を込めて香に言う。


「・・さっきも言ったが、漸く手に入れたんだ・・夢なんかであって堪るかよ。
今俺達がこうなってるのは、俺達が選んできた結果だろ?」


(リョウ・・・)


「う・・うん///」


「なら、そんな心配はもうするな。
いや・・もうそんな心配しなくていいようにしてやる。
まぁ、新たな成長の一歩ってんなら大歓迎だけどなっ♪可愛いし♪グフフ♪」


「リョウ・・・///」


リョウは香の不安そうな顔が晴れるのを見て、徐に立ち上がると、
早々に食べ終えて空になっていた食器を流し台へと運ぶ。


そんなリョウの姿を見ながら、
香は今朝方からの悶々とした悩みがスーッと消えていくのがわかった。

そして、それと同時にもう迷わないと心の中で誓ったのだった。


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-----------------


リョウは自分の使った食器を洗い終え、食器を片付ける。

そして自分のコーヒーカップに、おかわりのコーヒーを注いで
自分の席に戻り、真剣な表情を香に向けながら言う。


「・・・香、飯食いながらで良いから、少し聞いてくれ・・」


突然緊張を含んだ声と空気を発したリョウに香は驚きつつも、
リョウの真剣な表情に、真摯な瞳を向ける。


「どうしたの?」


リョウは新たな決意を香に告げようと、慎重に言葉を選び、徐に口を開いた。


「お前にローマンを渡した時、言っただろ?
『お前に人を殺させるような事は絶対にさせない』ってな。
今でもお前の手を汚したくないとは思ってる。だが香、もうお前は俺の女だ。
俺は、もうお前への気持ちをセーブするなんて芸当はできない。
だがそれは、これまで以上にお前を危険にさらしてしまうことになるんだ。
俺に恨みを持った人間は五万といる。ただのチンピラからヤバイ奴までな。
俺は・・お前を手離せないし、失いたくない。・・だから・・」


リョウはここまで一気に言い終えると、大きく息を吐き、
香の頬に手を伸ばし、優しく触れながら己の決意を香に告げた。


「お前が俺と共に生きていけるように、俺は・・お前を・・鍛える。」


リョウの大きな想いと決意は、難なく香の心に沁みていった。

香も同じような想いをずっと抱いていたからである。

リョウの役に立ちたい。リョウのパートナーとして足手纏いになるのは嫌だ。

そう長年思い続けていた香にとって、
このリョウの発言は、愛の告白と同じくらいに心を揺さぶる告白であった。

そして・・香は頬に触れている、大く温かい手に自分の手をあわせ、
嬉し涙を浮かべながら、自らの本音を口にしていった。


「リョウ嬉しい。リョウと生きていく為なら、あたしは何だってできる。
あたしも、もうリョウの傍から離れるなんて考えられないから・・だから、
リョウがそんな風に考えてくれてたことが・・とっても嬉しい。」


リョウは香の溢れ出る涙を指で優しく拭い、そっと香に近づき、力強く抱きしめた。


「香・・愛してる」


「あたしも・・愛してる」


お互い瞳を見つめあいながら、
互いの決意と想いを込めて、二人は深い深いキスをした。

そしてリョウは名残惜しげに唇を離して、照れくさそうに言う。


「コーヒーの味がしたな//」


「っ////」


リョウのその言葉に、香は全身を真っ赤にさせる。

香のその反応を見て、リョウは心底楽しそうに笑いながら言う。


「くっくっくっ・・真っ赤だぜぇ香ちゃん♪♪」


「/////な・・慣れないんだからしょうがないでしょっ」


「じゃぁ、これからいーっぱい慣らしてかないとだなぁ?」


「っ/////」


香はその言葉を聞くと、
まるで薬缶のお湯が沸騰した時のようにピーッと全身から湯気を出して俯く。


リョウはそんな可愛らしい香の反応を、もう少し楽しみたかったようだが、
本気モードに移行しそうな勢いの自分に気づき、大切な用事を先に済ませようと、
香の頭をポンポンと撫でながら言った。


「くっくっ・・香ぃ今日はさ、槇ちゃんとこに報告に行くぞ」


「え?」


「行くだろう?」


「うん♪行く♪」


リョウの意思を感じとった香は全身から湯気を出すのを止め、
すっかり上機嫌になり返事をしたのだった。


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