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「『長編一覧』」
『溢れる想い・全18話』

18

見上げた青空
『青空』


冴子が去った後も、リョウは香を抱きしめたまま離さずにいた。


「・・リョウ」


「ん?」


「その・・ごめんね?」


「ぁ?何でおまぁが謝るんだよ・・」


「え・・だって・・あ・・あたしが勝手に嫉妬したから・・あんな・・」


香の言葉にリョウの胸はチクリと痛んだ。

今朝香に『心配しなくていいようにしてやる』・・と言ったばかりだというのに、
さっそく香の心を痛ませてしまった自分、そしてそんなリョウを全く責めようとせずに、
香は自身を責めているようで、リョウは居た堪れなかった。


(俺と一緒じゃ、『我慢するな』なんて言う方が無理な話だよなぁ?
だが、俺への嫉妬を押し殺して・・あんな辛そうな顔されるなんざ、もう御免だ・・
しかし、長年の癖で今回みたいな事もあるだろうし・・・どうしたもんかな?・・
今までみたくハンマーしてくれりゃぁ、俺だって解りやすいしぃ・・助かるんだがなぁ・・
・・ん?・・それで良いじゃねぇかっ!つかっそれっきゃ方法ねぇっ!!)


リョウは香を抱きしめながら、そんな考えを巡らせ終えると、
香の腰から腕を離し、香の頬をそっと両手で優しく包み込む。

そしてジっと香の瞳を見つめ・・・。


「香・・・これからは・・もっと俺を束縛して・・いいから・・な?
お前なら俺は大歓迎だから・・さ」


「え?」


リョウのその言葉に、香は驚いた。

香はリョウを今まで以上に束縛しそうな自分を、
どこか醜く厭らしく感じていたので、
リョウの『大歓迎』という言葉に怪訝な顔を向ける。

そんな香にリョウは少し顔を赤らめ、
香に言い聞かせるようにして、自分の想いを口にしてゆく。


「長年の癖ってやつで、今回みたいな事も・・これから先・・あるかもしれん・・
というより・・絶対ある。だが、俺はお前にさっきみたいな顔・・もうさせたくねぇ・・。
もしまた俺の行動でお前が不安になっちまったり、嫉妬を感じたら・・さ・・
その時は・・いつもみたいにハンマーしてくれよ・・俺はそういう香も好きだから・・な?。」


(リョウ・・・そんな風に・・考えてくれてたの?・・
あ・・あたしはリョウと愛し合えるようになっただけでも・・
幸せすぎておかしくなっちゃいそうなのに・・そ・・そんな事言われたら・・あたし・・)


「ぅ・・リョウっ・・ヒック」


香は溢れ出る涙を止める事ができなかった。

リョウの大きく優しい手と、自分を見つめる瞳、
そして昨日からのリョウの行動と言葉、それら全てが香に温かい涙を流させていた。


「うわっ・・香っおまっ・・泣くなってっ・・
わっ・・悪かったよ・・俺が悪かったからっ・・泣かないでくれっ」


リョウは泣き出してしまった香に驚き慌てる。

自分が言った言葉で香を傷つけたのか?それとも、外だという事や、
冴子の目も気にせずに、濃厚なキスを繰り広げた事が嫌だったのか?
とあれこれ考えるが、どれも当てはまりそうで、
いつものポーカーフェイスはどこかに吹っ飛んでしまったかのように、
泣き止まない香を相手に、リョウはうろたえるばかりであった。

慌てているリョウはいつもの冷静さが欠けていて、
香のその涙が嬉し涙だと気づけなかったのだ・・。


(・・な・・泣かせちまったっ・・ま・・槇ちゃんとこで・・
俺は何やってんだ・・今日は漸く二人が前進したって事を報告にきたっつうのに・・)


などとリョウが考えていると、香は泣きながらリョウ腰に腕を絡めた。


「ヒック・・ち・・ちがうのっ・・ヒック」


「香?」


「あ・・あたし・・う・・嬉しくて・・ヒック
・・・・おかしくなっちゃいそうだよっ・・ヒック」


香が泣きながら自分の腰に腕を回してきたので、
リョウは驚きながらも、香の言葉を一言も聞き逃さないようにと、
香の唇の動きをしっかりと見て聞いていた。


「おかしく??」


「う・・うん・・ヒック・・
リョウの事っ好きすぎてっ・・どうにかなっちゃいそうだよっ・・ヒック」


その一言で、香が流していた涙が悲しみや辛さで流れているモノではないと
リョウは悟り歓喜した。自分の想いが香にしっかりと伝わっていると実感できたからである。


「香っ」


リョウは堪らず香の身体を掻き抱くと、
香の柔らかな唇に吸い寄せられるように甘いキスをおとした。

香もリョウからの甘いキスに応じ、此処が外だという事も忘れ少しずつ大胆になってゆく・・。


リョウは香の上唇を甘噛みし、下唇を舌て擽る。

角度を変えて、少し開いた唇の中にある香の舌先と自分の舌先を擦り合わせる。


香も自然とリョウの舌の動きに合わせて、
自分の舌を動かし全身が蕩けそうな感覚に酔う。


「・・んっふっリョウっ・・んっ」


「・・香・・」


リョウはもっと香を味わいたくて、
自分の舌を深々と香の口内へ侵入させ、
香の歯茎や舌全体を舐めあげてゆく。

外である事など忘れ、このまま身体を一つにしたい・・・・
と二人が思いはじめた時、遠くの道で車のクラクションが鳴り響いた。

そのクラクションの音にリョウと香は、
ここが槇村の眠る墓地であったことを思い出す。

二人の唇は熱を宿したまま、名残惜しげに離れ、
互いの瞳を見つめあってプッと噴出した。


「くっくっ・・俺達ってば・・だーいたぁん」


「フフッほ・・ほんとね///////
あたしここが何処なのかすっかりわからなく・・なってた//」


「・・俺もだ//さっき冴子の前でした時は自覚あったが・・今のは・・ヤバかった・・」


「フフフッ・・・・なんかあたし達バカップルっぽい///」


香のその言葉に、リョウは肩を揺らしながら笑い出した。


「くっくっくっ・・はははっ・・ここが槇ちゃんの居るとこだっつうのも
すぅ~っかり頭から吹っ飛んでたもんなぁ?・・・槇ちゃんに見られちまった・・な?」


リョウのその言葉に、香は全身を林檎のように真っ赤にさせると、
香はリョウの腕からスルリと抜け出て、慌てて言う。


「っ/////・・は・・早く兄貴のとこ行きましょうっっ」


香が腕から抜け出た寂しさはあったが、
これ以上くっついていると、人目も憚らず押し倒してしまいそうだったのでリョウは香に従った。


「・・だな・・行くか」


「うんっ♪」


そうして肩を並べて歩き、槇村の墓の前に着くと、
二人は各々槇村の墓に向き合い、自分の想いを報告してゆく・・。        



(槇村、俺と香を巡り逢わせてくれたこと・・感謝するぜ。
・・俺はもう香を手離さない、何が起ころうともな。
そっちへ行った時、思う存分殴らせてやるから見守っててくれ。)


(兄貴、リョウがあたしを受け入れてくれたんだよ?信じられる?
これから先も、あたしはリョウとずっと生きていく・・・・。
兄貴には心配かけちゃうと思うけど、リョウを怒らないであげてね?
これは、あたしが決めたことでもあるんだから。)


二人が心のなかで報告を終えた瞬間、
ゆるい風しかなかった墓地に、突風が駆け抜けていった。


「今の・・絶対、槇ちゃんだな」


「フフッそうね」


「俺達に妬いたかぁ?」


「アハハッまさかぁきっと祝福の印よ♪」


「だと良いけど・・な・・」


そんな会話をして、二人は肩を寄せ合い、
青く澄んだ空を見上げたのだった-------------・・・。

<fin>


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