Continues through all eternity.

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
*Edit TB(-) | CO(-) 


「『長編一覧』」
『溢れる想い・全18話』

04

yun_5378x.jpg
『戸惑い』

香はボーッとした頭で、自分の体の熱を感じることしかできなくなっていた。

リョウに促されおずおずと歩き、香はクーパーの助手席に乗る。

リョウが運転席に乗ると、またリョウは触れるだけのキスを香におとす。

先ほど濃厚なキスを長いことしていたにもかかわらず、
香はボンっを音をたてて全身真っ赤になる。

そんな香がたまらないらしく、リョウはクーパーを運転している間、
キスができないかわりに手を絡めることにしたらしい。


(つ・・続きってやっぱ・・リョウと・・ってことよね?・・
い・・今更逃げるつもりなんてないけど・・やっぱ少し怖い・・けど嬉しい・・)


いくら鈍感な香といえど、
教会でリョウが言った「続き」の意味はわかっていた。

アパートに帰る道中、手を絡め合っているだけで
互いの体に宿った熱がありありと分かるくらいだったのだから。

--------------------------
--------------------------

--------------------------
『冴羽アパート・駐車場』
--------------------------

程なくしてクーパーはアパートへと着いた。

車を止め、リョウは香の唇にまた触れるだけのキスをおとす。

香は始終全身真っ赤になっていたが、
リョウもそれに負けず劣らず耳まで赤くなっていた。

今までの行動からは考えられない行動ばかりしているのだから、無理もない。

リョウが先に車から降る。

それを見て香が降りようとすると、
リョウがいつの間にか助手席の扉の前に来ていて、扉を開ける。

照れくさそうにしながら、リョウは自分の手を香に差し出した。


「・・ほれ・・」


「ぁ・・ありがとっ・・」


香は差し出された手に、真っ赤になりながらも手をあわせる。

リョウは香の手が自分の手にあわせられたのを確認すると、
ただ握るのではなく、恋人同士がする指と指を絡ませる繋ぎかたをした。


(りょ・・リョウの手ってこんな大きかったっけ?・・温かい・・)


(ったくぅキスだけで気持ちにセーブがきかなくなるなんてなぁ、
新宿の種馬が聞いてあきれるぜまったく。にしても、香ってこんなに可愛かったっけか?
これじゃぁモッコリレーダーが反応するわけだわ・・ぁハハ・・俺・・暴走しちまいそう・・・。)


香が助手席から出たのを確認すると、
リョウは愛車の扉を閉め鍵をかける。


「いくぞ」


「・・うっうん」


そんな短いやり取りをし、
二人はいつもの空間へと向かう。

階段を一段上がる度に、リョウの頭には、
今まで二人で過ごしてきた日々が浮かぶ。

二人の日常はあまりに不自然だったというのに、
長年続いたせいもあってか『不自然』が『日常』として、
スポッと収まっていたのだ。

エレベーターのないアパートの階段を登りきり、
『二人の日常』の扉を開ける。


ガチャッ(玄関を開ける音)

---------------------------
---------------------------

---------------------------
『冴羽アパート・玄関』
---------------------------

玄関を入った途端、いつもの空気が二人を包み込む。

日常が詰まった家に帰ってきたからなのか、
リョウを強烈な照れが襲った。

リョウは、ふいに絡めていた手を離してしまう。

照れに襲われたのは、リョウだけではなかったようだが、
急に離れていってしまった温かいリョウの手に気づき、
香は一瞬泣き出しそうな、ホっとしたような複雑な表情をした。

だが・・そんな表情は一瞬で消えてしまい、
香はこの気まずい空気を何とかしようと、
しどろもどろになりながらもリョウに話しかける。


「あ~今日は大変だったわねっ美樹さんと海坊主さん大丈夫かしら?・・
教授やかずえさんが付いるんだから・・大丈夫よねっ。
うん。絶対・・大丈夫・・・あ・・・えっと・・・その・・・
そっそれにしてもさっ何も結婚式を狙って襲ってくることないじゃないねぇ?」


必死にこの空気を変えようと笑顔を見せる香の瞳は、
何かをグッと我慢したような色を隠せないでいる。

そんな香の瞳の色をリョウが見落とすはずもないのだが、
リョウはただ返事をすることしかできなかった。


「・・あ?あぁ・・そうだな・・」


香の戸惑いや不安が分かっていながら、
曖昧な返事しかできない自分にリョウは苛立つ。

そんな感情を香に悟られたくなくて、
リョウは香の瞳から視線をずらしてしまう。

視線を外されてしまった香は、
これ以上この気まずい空気に耐えることができなくなり・・・


「・・ぁっそうだっ疲れてるでしょっ
 ・・あ・・あたしっ・・・お風呂入れてくるわね!」


などと無理に明るく言い残し、
パタパタと音をたてて逃げていってしまった。

香の背中が見えなくなると、
リョウは自分に向けて舌打ちをする。

(・・俺は・・今更何を恐れてるんだ?
己の欲望の深さを知るのが怖いのか?・・こんなんだから・・
今みたいに逃げられちまうんだよな・・くそっ)


「・・もう・・逃がしてやらないっての・・」


そう呟いて、リョウは香の後を追った。


----------------------
----------------------
スポンサーサイト
*Edit TB(-) | CO(-) 


Back      Next

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。